SDGsへの取り組みはできることから~まずは知ることから始めてみませんか?
「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉をご存じでしょうか?真剣に取り組んでいる企業や個人の方がいらっしゃる一方で、「聞いたことはあるけど何をするの?」「個人でできることなの?」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
SDGsに取り組むことは、言い替えると「地球環境に配慮した行動をすること」です。一人ひとりの生活には、食べ物や衣服など、世界中の資源や人との関わりが欠かせません。地球環境に配慮することはもはや避けては通れない話ですが、具体的に何をすればいいのか分からなかったり、また行動すると言っておきながら実態が伴わないことで逆に反感を買ったり、SDGsへの取り組みを懐疑的に見る向きもあると思います。
今回のコラムでは、SDGsとは何か?というお話から始めて、主に企業でSDGsに取り組むことへのメリットや、そのハードルについて解説していきます。
1.SDGsとは
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」と表現します。2015年9月の国連サミットで採択された、国連加盟193か国が2030年までに達成するために掲げた目標です。
(参考)外務省HPより
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
17のテーマのどれを見ても、なかなか壮大なテーマに感じるかもしれません。確かに一人の力ですぐに変えられるものではありませんが、小さな行動の変化でもSDGsへの貢献になります。
例えば「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」について、2018年時点で、電気が使えない人口は7億8900万人もいます。
(参考)「SDGs CLUB」webサイト / 公益社団法人 日本ユニセフ協会より
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/7-energy/
電気を使って作られるあらゆる製品の中で、少しでも消費量を抑えられれば、電気に使う資源(石油・天然ガス・石炭など)を抑えられることになり、その分をエネルギーが不足している地域に間接的に分配できます。
これは、使っていない部屋の電気を消したり、割りばしやプラスチック食器からマイ食器に変えたり、生活の一部を少し変えるだけでSDGsへ貢献できます。
企業なら、蛍光灯をLED照明に交換したり、高効率の空調機器に交換したりなどの、コスト削減の延長線としてSDGsへ貢献できます。
企業なら企業ならではの、個人なら個人ならではの、SDGsへの貢献があります。SDGsのどの目標も一度に達成できるものではないので、貢献の大小を気にすることはありません。「まずは貢献してみる」ことが大切です。
2.企業がSDGsに取り組むメリット
SDGsへの貢献の大小を気にすることはないとはいえ、企業としてはメリットがないとなかなか行動できません。それでは企業がSDGsに取り組むメリットにはどんなものがあるでしょうか?
2-1.企業価値の向上
SDGsは世界共通の目標ですので、企業がSDGsに取り組むことで、顧客や株主などのステークホルダーからの評価が上がることにつながります。
この点で特にお伝えしたいのが、「ESG投資」です。
ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字をとったもので、ESG投資とは、その企業がESGの要素にどれだけ取り組んでいるのかを評価して投資することを指します。ESGはSDGsと目指すゴールが類似しており、SDGsへの取り組みが、企業の資金調達にも大きく関わってきます。
このグラフは、世界全体のESG投資額を調査している国際団体GSIAのデータです。世界でも日本でも、ESG投資額が2016年から増加し続けていることが分かります。
2-2.ビジネスリスクの回避
SDGsへの取り組みは強制されているものではありません。ですが、年々SDGsへの関心は高まっており、取り組んでいないことが逆にリスクになる可能性があります。
ステークホルダーからの評価が下がってしまうと、取引先から外されたり資金調達が滞ったりする恐れがあります。
また人材採用の点からも、SDGsへの取り組みが企業選びの観点の一つになっています。
引用元
マイナビニュースHPより
https://news.mynavi.jp/article/20210511-1886602/
上図は2022年就職予定の就活生を対象にした、「企業選びで重視したポイント」のアンケートです。この中で、「SDGsに対する姿勢や取り組み」が6番目、17.3%を占めています。「職場の雰囲気の良さ」などの上位には及びませんが、「有名企業であるかどうか」を上回っています。このことからも、企業のSDGsへの取り組みは注目されていると言えます。
3.企業がSDGsに取り組む上でのハードル
3-1.社内意識の違い
経営方針にSDGsへの取り組みを盛り込んだとしても、携わる人間の意識が一番重要です。時間や資金を投入しても、携わる人間の意識がバラバラだと、なかなかプロジェクトが進みません。「本業が忙しい」「SDGsに取り組んで利益になるのか?」など、さまざまな考えがあると思います。個人単位でも、マイバッグを使う・使わないで違いがあるくらいですから、なかなか意識を統一することは難しいです。
また、これに付随する話で、「SDGsウォッシュ(※)」と呼ばれる状況になる恐れもあります。
これは、SDGsへの取り組みを掲げておきながら実態が伴っていない、言っていることとやっていることが違うという状況を指します。例えば、「8.働きがいも経済成長も」の目標ために労働環境を改善します、と言いながら、実態は時間外労働が一向に改善されていない場合が当てはまります。一度「SDGsウォッシュ」だと指摘されると、なかなかイメージを払拭することは難しく、SDGsに取り組んでいないことよりダメージが大きくなる可能性があります。
※SDGsとホワイトウォッシュ(ごまかす、うわべを取り繕う)を合わせた造語。
3-2.見えにくい成果
2.企業がSDGsに取り組むメリットで、「企業価値の向上」「ビジネスリスクの回避」を取り上げましたが、これらは「半年後に●●万円の利益」と言うような短期的な成果が出るものではありません。SDGsに対しては腰を据えて取り組む必要がありますが、目先の経営が厳しい状態ではなかなか手が付けられません。
成果が見えにくいので、そもそもどれくらいコストをかければいいのか判断しづらいことにもつながります。3-1.社内意識の違いの原因の一つです。
4.東京電力グループとSDGs
4-1.エネルギー事業の企業として
東京電力グループでは、エネルギー事業に携わる企業として、以下の4つの目標に取り組んでいます。詳しくは、当社ホームページをご覧ください。
4-2.地域のサポーターとして
東京電力グループでは、脱炭素化、防災、環境保全など多様なサービスを通じて、各地方公共団体さまや企業さまのSDGs達成に向けた取り組みをお手伝いします。
こちらのページでは、東京電力グループがご提供しているサービスを紹介しております。
5.まとめ
SDGsへの注目は年々高まっており、特に企業としては無視できないテーマになりつつあります。
SDGsに取り組むまでのハードルは決して簡単なものではありませんが、世界共通の課題ですので、顧客や社会全体からの評価を上げるチャンスになります。
照明や空調の交換など、コスト削減と合わせて考えると取り組みやすいかもしれません。
世界共通の課題ですので、難しい反面、自分たちで何とかできるものでもありません。「できるところからSDGsに貢献していく」くらいの気持ちで、まずは知ること、それから取り組んでみるのはいかがでしょうか?
今回のコラムはここまでです。
お読みいただき、ありがとうございました。