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東京電力パワーグリット

節電に対する考え方のご紹介 ~無理のない範囲でSDGsにも貢献できます~

2022年は当コラム公開時点の7月までに3月と6月~7月と二度にわたり電力が逼迫し、みなさまの節電のご協力により無事に供給を続けることができました。この場を借りて感謝申し上げます。

東京電力グループでは節電にご協力いただく際に、過度な節電で体調を崩されてしまわないように、「無理のない範囲で」と申し上げております。
とはいえ「無理のない範囲」には個人差があると思いますので、当コラムでは節電に対する苦手意識を少しでも払拭できるように、節電に対する考え方の例を紹介していきます。

「エアコンのフィルターを掃除する」というような節電ノウハウは、様々な組織・個人で紹介されておりますので、そちらをご覧いただきますようお願いいたします。

節電ノウハウ紹介サイト(一例)
【家庭向け】
気温が高い日に実践してほしい節電とは?(東京電力パワーグリッド)
https://pgservice1.tepco.co.jp/2020/08/14/power-saving/

【家庭向け・企業向け】
省エネポータルサイト(経済産業省 資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/index.html

1.日頃から節電に取り組む

急に節電しようとしても、日頃の生活に体が慣れているので、どうしても受け入れにくいと感じるかもしれません。急に冷たい水を浴びたり激しい運動をしたりすると体がびっくりするのと同じで、急な節電は、体にも自身の感情にも影響が出るかもしれません。

日頃から不要な電気を使わない、過度に電気を使わない、と意識して行動することで、本当に節電が必要な時に体がある程度慣れていきます。

「急に環境を変えるのではなく、少しずつ変えて体を慣らしていく」ことの重要性について、少し変わったアプローチで説明いたします。

急に環境が変化すると、どんなものでも初めのうちは不満が生じると思います。ですが、その不満は出来事に対して真っ当なものもあれば、過剰に反応しているものもあります。人間は、不満に対してより誇張して感じてしまう習性を持っています。

この誇張して感じてしまう習性は、経済学の一つのジャンルである「行動経済学」で提唱されています。「行動経済学」の中に、本当に人間はメリット・デメリットを合理的に判断しているのか、を論じている「プロスペクト理論」というものがあります。この「プロスペクト理論」では、人間の意思決定は合理的ではなく、感情や感覚によって歪むものだ、ということを提唱しています。

下の図をご覧ください。

(引用元: STUDY HUCKER Webサイト)
https://studyhacker.net/prospect-theory

この図では、5万円得たときと失くしたときの価値の振れ幅を表しています。5万円得たときの上方向の伸びより、5万円失くしたときの下方向の落ちのほうが大きくなっています。同じ5万円なので、合理的な判断をすれば伸びと落ちは同じ大きさになりますが、実際には失くしたときのほうが、より記憶に残るのではないでしょうか?「得をした嬉しさよりも、損をしたガッカリ感を強く感じる」という人間の感情を表しています。

この「プロスペクト理論」を節電にあてはめてみます。

猛暑時に、「労働環境に影響が出るので、エアコンの設定温度はそのままにしましょう」と言われた時と「節電が必要なのでエアコンの設定温度を1℃上げましょう」と言われた時、どちらがより感情が動くでしょうか?エアコンが苦手な人でない限り、おそらく後者だと思います。

普段から少しずつ節電をしていると、感情の振れ幅を小さく抑えられ、心身へのダメージを軽減できるかもしれません。

また、普段から少しずつ節電することで、SDGsの目標7.「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」へ貢献することができます。「節電は自分が我慢するだけの話ではなく、SDGsへの貢献にもなる」とプラスの感情を持つことができれば、少しでも節電に対する苦手意識を和らげることができるのではないでしょうか?

SDGs_7

2.どこから節電を始めるか

節電する際にどこから手を付けるべきでしょうか?身近なところだったり、必要不可欠ではないところだったり、いろいろな考え方があると思いますが、このコラムで消費する部門と必要度合いに分けてご紹介します。

2.1 エネルギー消費から見た節電

下の2つの図は、オフィスビルにおけるエネルギー消費の内訳を示したものです。

(引用元 一般財団法人省エネルギーセンター / レイアウトは筆者編集)
https://www.eccj.or.jp/office_bldg/01.html

照明・コンセントが42.4%で一番大きく、次に熱源が31.1%と続きます。照明・コンセントには、パソコンやプリンターなどのOA機器も含まれます。また、いわゆる空調に該当するのが、この熱源です。

照明・コンセントは、個別で見ると機器の消費量は小さいですが、複数台設置しているものなので、積み重ねで消費量が増えますし、節電にも効いてきます。

・不使用のOA機器の電源をOFFにする
・不使用の会議室や廊下の照明をOFFにする
・普段使わない機器はコンセントから抜いておく

このような節電手法は、「大したことないからやらない」のではなく、積み重ねが大切です。

熱源は、機器の消費量が大きいので、節電の効果も大きくなります。「室内温度を●●℃に」とよく言われるのも、それだけ効果が大きいからです。

ただ、照明・コンセントの不使用と比べて室温は体調への影響が出やすいので、設定温度の上げ下げが難しい場合もあります。なので、エアコンが効率的に動くようにフィルターの掃除や他要素での遮熱など、工夫が必要です。

2.2 必要度合いから見た節電

照明・コンセントと空調が、エネルギー消費の多くを占めることは分かりました。ですが、業態や使用状況によって、これらの節電が難しい場合もあると思います。その場合は、「その電気機器は便利さを生むものなのか、必要不可欠なものなのか」という観点で判断する方法があります。

例えば「不使用のOA機器の電源をOFFにする」方法で言うと、3台あるプリンターのうち1台は業務に必要だから残す、不便だけど2台はOFFにする、という判断があり得ます。印刷する頻度が少ない場合は、一時的に3台全てOFFにする、という判断もあるかもしれません。

他にも、機器をコンセントに挿したままにするというのは、その機器がすぐに使えるようにする目的、つまり時短という便利さのためですので、ここが許容できるならコンセントから抜いておくという判断もあるかもしれません。例えば、PCはすぐに起動して使いたい=時短が必要だからコンセントにつなげたままにする、シュレッダーは廃棄書類が溜まってから使う=時短が必要ではないので普段はコンセントから抜いておく、という判断もあるかもしれません。

このように、便利さを生む機器ならどこまで許容できるのか、という目線を持つことで、「室内温度を●●℃に」や「照度は●●までに」といった一律的な節電目標に苦手意識を抱かず、「自分たちができる節電」に取り組みやすくなると思います。

3.まとめ

今回は節電に対する考え方の例を紹介しました。日頃から取り組まれている方も、普段は意識していない方も、「こんな考え方もあるのか」と感じていただければ幸いです。


東京電力グループでは、省エネに関する情報コラムやサービスを掲載しております。よろしければこちらもあわせてご覧ください。

1.省エネに関するコラム(東京電力パワーグリッド)
https://pgservice1.tepco.co.jp/category/energy-efficiency/

2.省エネに関するサービス一覧(東京電力パワーグリッド)
https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/partners/index-j.html

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